閉鎖病棟考

秀作。

丁寧に描かれている。

アンモニア、カビ臭、長期間風呂に入ってないようなすえた体臭が漂ってきそうな雰囲気が出ている。

 

 

母親が絡む役をやらせると、綾野剛は巧い。

生育歴から滲み出るの?

『怒り』の綾野剛原日出子の雰囲気に匹敵する。

 

 

小松菜奈はスナックの物置に挟まってぬかるみの女たちに罵倒された後に、コンビニでお茶とおにぎりを買って食べるシーンが良い。

ながい手足を上手く折り曲げて膝揃えておにぎりを食べる。

女の子感凄い。

 

 

鶴瓶鶴瓶のまま。

最後の脚を持つシーンは勉強した方がいい。

 

 

閉鎖病棟は他者への無関心に支配されている。

病棟の誰かが死んでも、無響室にいるような、いっそ清々しいまでの無関心。

血反吐吐こうが頭が割れようが響かない、時間は進む。

だからシーンとなる瞬間は寝静まった時ぐらい。

花のお骨のシーンとか、裁判に入院患者が来るとか、ま、ザ・フィクション。

 

 

自傷他害の恐れがある人は問答無用で隔離室。

殺される紫のスウェットの人、あんなの隔離室から出てこられんで。

 

 

鉄格子やら鍵のかかるやらの閉鎖病棟だから、入院患者が安心できる面もある。

自ら望んで閉鎖を好む患者がいることを忘れてはいけない。

 

 

78点。