走馬灯

君は、覚えているかい?

あの頃から、僕達は徐々に、自分の存在を互いの心の中に、見ることができたんだね

 

 

あの頃の僕達、二人の関係は、一体なんと呼べば良かっただろうね
恋と呼んだら君は、きっと怒っただろう
けれど、愛と呼ぶには、まだ僕たちは、あまりにも幼すぎた

 

 

あの時の自分の気持は、今でも、よく覚えている
そう、ただ残ったものはと言えば、君からもらったキーホルダーと、救いようのない喪失感だけだった

 

 

あの頃の僕は、一日がとても長く感じていた

自分の気持ちを伝えられないもどかしさに、君もまた苦しんでいたね

 

 

心の中で小さく安堵のため息を、もらしていた
あの時の僕は、君の顔をまともに見ることすら、きっと、できなかった

 

 

生まれて初めて 愛しているという言葉を口にした

あの時の僕は、一方で君に、まだ拭いきれない嫌悪感を、抱いていた

 

 

あの頃の僕たちは、ただ、そこに砂の城を築こうとしていたんだね
ほとんど人の来ることのない小さな公園の片隅に

 

 

いつか君と僕は、同じ一線で結ばれた優しい放浪者だった

 

 

指先の震えが止まるまで、気づくことができなかった

あれから僕達は、すべてを失ってしまったね

 

 

僕は、今、本当の自分がなんなのか、分かったような気がする
いや、僕だけじゃなく、人は皆、恐怖も怒りも悲しみもない、まして、名誉や地位や、すべての有形無形のものへの執着もない、ただ、そこに、たった一人からの永遠に愛し、愛されることへの息吹を、感じていたい、そう、ただ、それだけの無邪気な子供にすぎなかったんだと